【7研アドカレDay17】ナナシス楽曲の好きな韻。

はじめに

 

この記事は7研連合アドカレ企画の17日目です。

 

 

 

 

こんにちは、はじめまして。晴れた日曜日をゴミ箱に捨てるようなアイドル担当支配人、Haruです。京大ナナシス研と京大解釈は自由サークルに所属しています。

 

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そんなサークルはない



 

 

 

 

 

自己紹介

 

はじめましてなので、簡単に自己紹介をさせてください。

僕がナナシスを知ったのは2,3年ほど前で、しばらくは「エピソード読みてえな~」と思いながらも楽曲だけ聴いている人間でした。そして2020年秋、6.0の公開が始まったことをきっかけに「今しかない!」ということで1.0から最新話まで一気に読み、無事沼へ。当時就活中だった自分にはこれ以上無いほど刺さりました。今年7月には、ナナスタライブにて初ナナシス現地も味わいました。今週末のナナスタライブ2ndも楽しみですね。

 

自己紹介おわり。

 

 

 

 

本題

 

突然ですが、ナナシスの楽曲っていいですよね。

歌詞、メロディ、ライブなど、様々な視点から考察できます。今回のアドカレでも楽曲をテーマにした記事が多いので、やっぱりナナシスの大きな魅力の一つなんだなあと思います。

そんなわけで、自分も楽曲をテーマに書いてみます。

 

 

 

 

高校時代からのMCバトル*1キッズである僕は、楽曲を聴くとき「韻」に着目して聴くことが結構あります。

韻というのは、文の中で同じ(もしくは近い)母音の言葉を連続させることです。

 

 

 

 

ヒップホップユニットICE BAHNのMC、FORKは韻(ライム)についてフリースタイルダンジョン内でこう語っています(このバース自体はネタ*2っぽい感じがしますが)。

 

分かってないな ダジャレとライムの違いも分かんないのか?

布団吹っ飛んだ これはダジャレだ

布団が俺に吹く強烈な追い風に乗って吹っ飛んだ これはライムだ 

分かるか? ライムっていうのは踏んでる部分だけじゃない そこまでのプロセスに全てを賭けなさい 

分かってんだろ モンスターに戻って来い ついでに今吹っ飛ん布団も取って来い

 

ここでは「布団」「吹っ飛ん」に加えて「だけじゃない」「賭けなさい」(aeaai)と「戻って来い」「も取ってこい」(ooeoi)も韻になっていますね。ラスト一文に前半の内容を絡めつつしっかり固い韻を踏んでいる綺麗な一節だと思います。FORKはもっとヤバいバースもたくさんありますが。

 

それは置いといて、ここでFORKが言いたいことは、「単に母音が同じ(近い)だけで無関係な言葉を羅列するのはダジャレに過ぎず、ストーリーやパンチラインを持たせる中で韻を踏むことこそが真のライムである」ということです(多分)。すなわち、韻は韻それ自体のみではあまり強くなく*3、ストーリーの中に散りばめられることにより真価を発揮して文章(歌)全体をパワーアップさせる、いわば「エンハンス魔法」のようなものであるといえるでしょう。*4

 

 

 

 

そんな感じ(どんな感じ?)で、以下では韻を中心に自分の好きな歌詞をいくつか挙げていこうと思います。並びはゲーム内実装順です。

 

 

 

 

KILL☆ER☆TUNE☆R / 777☆SISTERS

サビの脚韻が丁寧な曲の一つ。1番2番ラストと、バシッと一致しているととても耳に入りやすいです。作詞者の気遣いがすごい。聞き手への福利厚生だな~って感じがします。この曲の作詞はSATSUKI-UPDATEさん。この後に紹介する楽曲も含め、ナナシス曲には頻繁に登場する名前ですが、ナナシス以外ではみかけません。一体誰なんでしょうか。

 

 

 

 

-Zero / KARAKURI

AメロBメロサビ、至る所に韻が登場します。特にAメロの脚韻は徹底されており、聴いていて心地よいですね。伸ばし方やメロディ次第で、語尾一文字の母音を合わせるだけでも非常に好印象になることの好例だと思います。

 

(1番Aメロ)

夜に一羽の鵺が鳴く 妄に起つ空前絶

生死去来の鐘が鳴る 列に並ぶ老若男

 

(2番Aメロ)

罠に落ちたの濡 万古不易傍観だけ

他人同士の方が楽 耳に入る甘言削

 

なんと1フレーズ目に至っては「iaoueaau」の8文字で踏んでおり、めちゃくちゃ固いです。ちなみに生死去来は「しょうじこらい」と読むそう。毎回「今日家(うち)来ないの?」に聞こえます。

KARAKURIは韻が際立っている曲が多いですね。Winning DayもAMATERRASもアツいです。

 

 

 

 

TREAT OR TREAT? / 4U

Aメロとラストのたたみかけるような踏み方が良いですね。

 

(1番Aメロ)

DAI☆好きショコラアート♪

食べ過ぎペペロンチーノ?

心に紅(あか)のシャドウ…

壊れたパンプキンハート……

 

(2番Aメロ)

言い訳後の「あっそ」

機嫌はさらにBAD!!

ハサミと赤い

最後は釘にバッ

 

(ラスト)

恋のハーフオン

怒り心

これがホントの最後通告ッ……!!

 

 

 

 

ラバ×ラバ / WITCH NUMBER 4

サビの「i」攻めが楽しいです。「ディティクティブ」の「ブ」をほとんど発音しないで踏みに行くところとか、よくある手法ですが実際に歌詞を見ながら聴くと気持ちいいですね。

 

 

 

 

Crazy Girl's Beat / 4U

タイトルの「Crazy Girl's Beat」を使ってひたすら踏み倒す曲。初めて聴いたときは、最後の「セクシーランジェリーよ」でもう「これがやりたかっただけだろ……」と笑ってしまいましたが、何回も聴いてるとすげえ歌詞だな……となります。いろんな意味で。

4Uだと、他にLucky☆Luckyの「等身大」と「今日次第」で踏んでるやつとか好きです。

 

 

 

 

R.B.E. / The QUEEN of PURPLE 

これ、めちゃくちゃ好きです。

 

(1番サビ)

君はRiot beauty ecstasy

ズタボロの君こそ綺

そんな素晴らしい Philosophy

口に出してもっと言うよ

 

I love you, dancing with the galaxy

骨抜きになろうよ End & Fin

だから Riot beauty ecstasy

決めてるから覚悟するよ

自由に羽ばたいて

 

(2番サビ)

君はRiot beauty ecstasy

底抜けの笑顔は無

そんな素晴らしい Homeostasis

褒めちぎっても足りないよ

 

I love you, dancing with the galaxy

お気に召すままに End & Fin

だから Riot beauty ecstasy

そのままでいてね ずっと

強気な眼差しで

 

韻はもちろんなんですが、何がヤバいって「End & Fin」がヤバい。歌詞カード見るまではどうやっても「エンドルフィン」にしか聞こえません。発音もそうだし、文脈的にも。エクスタシーとかホメオスタシスといった、神経や生物に関するワードが周りに散りばめられていますし、「骨抜きになろうよ」という前文からもピッタリ繋がります。作詞家ってすごいですね……。QOPだと、他にTHUNDERBOLTとかいい韻ですね。

 

 

 

 

ひよこのうた / Le☆S☆Ca

これも外せませんね、最初にがっつりラップパートがあります。いい感じのフロウです。

三年前辞めた会社の 上司に貰った

「あっち向いてもこっち向いても 人生はジェットコースター

なんて文字が書かれたハワイ土産のコースター

駅前パルコで見かけて Ring Ring やべ遅刻だ!

 

コンテンツの楽曲なのに商標が出てるのもラップっぽくていいですね。

 

 

あとひよこのうたの言葉遊びで好きなのが、ラスサビの「白と黄色だけじゃ終われないのがミソみたい」ってフレーズです。

曲のテーマに沿えば「白=卵、黄色=ひよこ」で、いつまでも若いままではいられないのが人生のミソ(重要なところ)だよね……ということなのでしょうが、ミソって「味噌」ともかかっている気がします。味噌といえば大きく分けて白い味噌、黄色い味噌、赤い味噌。ついでにニワトリのトサカも赤いですしね(さすがにこれは偶然だろ)。

 

これに限らず、歌詞読んでるとナナシスの曲ってどの曲もあと二層くらい深く掘れるような気がしてなりません。みなさんの解釈も聞いてみたいです。

 

 

 

 

HEAVEN'S RAVE / AXiS

全てが激強曲ですが、韻で見るとCメロが特に強いです。

 

なんて知らないで生きてるほうがいい 

も楽しにするイデオロギー

うるさーい!って言われても 終わらせないParty Time

つまらない偶像崇拝はもうやめにしない?

打ち鳴らせBeat 瞬間(いま)だけBelieve

Trick or Treat? 退屈は全てDefeat

シンプルに突き進む6が砕くルール

いつだって僕らはもう 天国のスレイブ

 

目まぐるしく変わる韻と強い音、そして最後のウィスパーボイスでもう上がりまくりです。

 

 

 

 

NATSUKAGE -夏陰- / 777☆SISTERS

韻抜きにしてもめちゃくちゃ好きなんですが、韻の存在によってナナシス1,2を争う聴き心地を獲得している曲だと思います。全体的に「o」を伸ばして終わるフレーズが多く、特にAメロとサビは非常にまとまっています。

 

そして全体的に語尾を合わせることによって、変則的なパートや強調したい部分が一層際立っています。2番Bメロ後がそれに当たると思う。

 

 

 

ナナシス関係ないですが、この「ひたすら脚韻を踏み続ける中で突然語尾を変えて浮かせる」テクがめちゃくちゃうまいなと思うのが、amazarashiの「スピードと摩擦」という曲です。この曲、Cメロと最後の「スピードと摩擦」というフレーズ以外、”全て”語尾が「e」の音で終わっています。それによって、Cメロがより異様というかおどろおどろしい感じになっており、ラスサビへの盛り上がりに一役買っています。気持ちよすぎ。

 

 

 

 

Don! Kan! Boy! / Ci+LUS

今週末のナナスタライブ予習枠。

 

(1番Bメロ)

迷い込んだ恋のダンジョン 油断しないでアテンション

お目当ては君の感

あーどうしよ もうあっちもこっちも行き止まりだ!

 

(2番Bメロ)

見つめてたら目が合って 心臓止まりそうになって

寿命が縮むわガッデム

あーどうしよ もうこんなの何回くり返すの?

 

サビにもありますね。

 

(1番サビ)

世界中の電波を操って全力で気持ち送って

Do you know? そーゆーの

(ラスサビ)

世界中の恋をすくい取って甘酸っぱいジュースあげ

I need you! 一年

 

これが聴けると思うとテンションがおかしくなってきました。楽しみですね。

 

 

 

 

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。もちろん、ここに挙げた以外にもたくさん韻が踏まれている曲はありますし、書き足りていない「ここ好きポイント」もあります。

 

あくまで楽曲の楽しみ方の一つであって全てではないですが、是非みなさんも「韻」に着目して曲を聴いたり歌詞を見たりしてみてください。新たな発見があったり、作詞者の気持ちが読み取れたりする瞬間があるかもしれません。

 

 

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

最後に近年の好きなバトルを載せて終わりたいと思います。

 

 

youtu.be

 

 

youtu.be

 



 

 

 

 

明日は京7研期待の新メンバー、せん君です!

 

*1:DJの流すビートに合わせて即興で行うラップバトルのこと。当時、「フリースタイルダンジョン」という番組がきっかけでフリースタイルバトルが流行していました。

*2:ここでの「ネタ」は「ふざけている」とか「真剣でない」とかではなく、「本来即興であるはずのフリースタイルバトルにおいて事前に言う内容を仕込んでいる」の意です。

*3:もちろん弱いわけではありません。無限に韻を踏み続けることで客を湧かせるラッパーもいます。

*4:一部では、「母音だけでなく子音も全て合わせてしまうとそれはもはや韻ではなくダジャレである」という説もあります。つまりここの例だと「布団が吹っ飛んだ」はどう加工しようとダジャレの域を出ないということ。まあ、「ライムとダジャレの境界線はどこか」という問題に明確な正答は存在しないので、様々な意見があってしかるべきだと思います。解釈は自由。